ソーラーバッテリー

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125D31と40B19並列接続による1500W正弦波インバーターが使用可能かの実験

■使用機材

125D31L 容量72Ah(5時間)メーカー「アトラス社」(韓国製)

40B19L 容量29Ah(5時間)(日本製)

電子レンジ700W(アイリスオーヤマ製)

バッテリーチェッカー(アマゾンで入手のもの)

 

■実験の背景

 鉛バッテリー125D31は自動車用バッテリーで重量20kgとディープサイクルバッテリーM27MFに匹敵する容量かつ唯一大人一人で可搬可能な機種である。これ以上のクラスになると重たく、設置・撤去が常時伴うキャンピングカーなどでの使用は困難である。コストも高い。

 現在、サバイバル時のバッテリー運用シーンとして「多種多様なバッテリーの混在運用」が想定されている。平時においては「同一種類、同一サイズバッテリー」の「並列接続」がセオリーであるが、非常時においては困難であると考えられる。そのため、サイズと劣化状態の違うバッテリーの混在での運用がどれだけ可能かの検証が必要である。

 

■実験1「バッテリー端子に接続するケーブルの太さによるパフォーマンスの違い」

 通常セオリーでは「バッテリー端子には太い銅線ケーブルを接続すべき」となっている。一般的に12Vの運用で推奨されるのは38sqケーブルである。ただし、太すぎて曲げにくく取り扱いが難しい。

 しかし、1500W正弦波インバーターでの運用では、インバーターとバッテリー間のケーブルは太くして電気抵抗を可能な限り下げ、大電流が流せることが望ましい。

 なので、セオリーどおりでの38sqケーブル、ワンランク下げた22sqケーブルでの電池の内部抵抗を測定した。

 

■実験結果

125D31「ナンバーD」

端子直接測定:468 CCA 6.14mΩ SOH 91% 12.74V SOC 94%

38sqケーブル:410 CCA   7.6mΩ SOH 70% 12.79V SOC 99%

 

125D31「ナンバーG」

端子直接測定:469 CCA 6.13mΩ SOH 91% 12.4V SOC 60%

22sqケーブル:365 CCA  7.87mΩ SOH 55% 12.39V SOC 59%

 

ダウン率

38sq:13%ダウン

22sq:23%ダウン

 

■考察 

ケーブルの太さはバッテリーの内部抵抗を上げ、CCA値の低下をもたらした。なのでバッテリーインバーター間の接続ケーブルは許容電流としては22sqで124A(12V換算で1488W)なので十分だが実際は23%ほどバッテリーから流れる電流の損失をして使用しているということになる。

 

■実験2「125D31の2台並列による700W電子レンジの動作」

実験1で使用した125D31Lを2台、38sq、22sqケーブル経由で1500W正弦波インバーターに接続し、家庭用700W電子レンジを最大出力の60Hzで動作させマグカップの水を200mlで1分間加熱した。

 

まず、1台だけで動作させたところ、電圧は12.2Vから9.8Vに低下してアラームが鳴って動作を停止した。

125D31を1台での電子レンジの稼働はできないと判明した。

次に、2台並列にて動作させた。

 

■実験結果

2台並列接続した場合、2台分の容量になるかを調べた。並列時は接続した単一のバッテリーのプラス・マイナスからではなく、相互にプラスとマイナスを両端で接続して利用することが望ましいとされている。測定結果はGのプラスと、Dのマイナス端子で計って812 CCAとなった。38sqケーブル接続時の410 CCA、もう1台の22sqケーブル接続時の365CCAの合算775 CCAよりは上回り、ほぼ2台分の容量を合算したパワーが得られることが確認できた。2台の合算電圧は12.4Vであった。

 

この状態で、200mlのマグカップの水を700W電子レンジを60Hzにて1分間動作させたところ正常に動作した。加熱中電圧は10.7Vまで低下(-0.7V)したが、1分加熱後のお湯は62度であり、十分な加熱が得られた。加熱中の使用電力は1394Wを示していた。実験後の電圧は12.3Vを示し0.1Vの電力消費をした。

 

■実験3「125D31と40B19の並列混在使用での700W電子レンジの動作」

実験2で使用したバッテリーDに、40B19バッテリーを並列接続して、容量が違うバッテリーでの電子レンジ稼働が可能か実験した。

200mlのマグカップの水を700W電子レンジを60Hzにて1分間動作させたところ正常に動作した。

 

125D31+40B19にて端子直接測定:549 CCA 12.3Vであった。

実験後、2台分で

279CCA 10.28mΩ  SOH 28.9% 12.09V SOC32%に低下していた。 

差し引き270CCA分消費していたことになる。

 

■考察

(1)125D1台では消費電力1390Wの電子レンジの稼働はできなかった。2台なら可能である。

(2)125Dと40B19を並列接続して1500W正弦波インバーターを動作させることは可能である。

(3)バッテリーを並列接続してトータル容量を増やせば、高い負荷の電子レンジの動作は可能である。

1390Wの消費電力として115Aが瞬間的に必要と推定される。

(4)インバーター側は10.8Vでアラームが鳴るので容量の半分が使用可能領域とした場合、72Ah+29Ah=101Ahであったのでオーバーしていたようだが、ギリギリ動作したと思われる。